泉質による分類:炭酸水素塩泉

前回の二酸化炭素泉に引き続いて、泉質による9つの温泉分類を見ていきます。

炭酸水素塩泉(重曹泉)とは


炭酸水素塩という言葉は、あまり耳慣れないものです。それに対して重曹という言葉は、非常に身近なところでは料理をする際のベーキングパウダーにも使われていることから、知名度は比較的あります。
炭酸水素塩泉(重曹泉)という書き方をしていますが、厳密には炭酸水素塩と重曹はイコールの関係ではなく、重曹というのは炭酸水素塩の一つ、という包括関係があります。重曹泉でない炭酸水素塩泉は、重炭酸土類泉というカテゴリーになり、旧い温泉成分表示では重曹泉と重炭酸土類泉を分けていたため、この単語は温泉地のパンフレットや成分表示でも、いまだに使われることが多いようです。

要は、炭酸水素塩と呼ばれる物質が基準量(温泉1kg中340mg)以上含まれる温泉のことを指し、重曹泉であればナトリウムイオンと炭酸水素イオンが結合した炭酸水素塩、重炭酸土類泉であればカルシウムイオンないしマグネシウムイオンと炭酸水素イオンが結合した炭酸水素塩を主成分にしています。

炭酸水素塩泉(重曹泉)の効能


炭酸水素塩泉(重曹泉)は、「美肌の湯」「美人の湯」といったキャッチコピーで表わされることの多い泉質です。というのも、アルカリ性の湯が肌にとどまる老廃物質を溶解し、新しい角質を表面に出す効果を示すからで、そのため湯上がりに肌がスベスベになったと感じさせることが多いのです。古い角質を除去する効果自体は、石鹸と同様の仕組みになりますが、湯に浸かることによって普段気付かない体の部分も含めてリフレッシュすることが期待できます。
その他、よく挙げられている効能としては切り傷の治癒などがあります。肌表面の代謝を促進し、傷を目立たないようにするという程度の意味合いであり、皮膚病などの根本原因に効果が及ぶというわけではないので、その点には注意をする必要があるでしょう。

飲用泉としての炭酸水素塩泉(重曹泉)


炭酸水素塩泉(重曹泉)の温泉の中には、入浴による効果の他に飲泉による効果を売りにしている温泉も数多くあります。重曹泉の主成分である重曹は、市販の胃薬の中にも含まれる成分で、胃酸を中和してくれる効果があります。そのため慢性的に胃酸が過剰に分泌され、胃を荒らすという症状に悩まされている方には、重曹泉の飲泉は一定の効果をもつと言えるでしょう。ただし、旅行先の温泉で一度きりの飲泉を行って効果が出るというような性質ではなく、日常的な飲泉での効果ということになりますので、旅行先の温泉が重曹泉であったからといって、胃もたれなどの体質の急激な改善など、過剰な期待をすることは間違いであると言えます。

代表的な炭酸水素塩泉(重曹泉)


炭酸水素塩泉(重曹泉)が湧出するのは、おおむね炭酸泉と同じような地質条件にある場所です。炭酸水素塩泉の生成過程で、前提として炭酸ガスの発生を必要とするからです。
炭酸水素塩泉(重曹泉)の見た目上のひとつの特徴として、通称「黒湯」と呼ばれる、黒褐色の色の濃い温泉があります。黒湯の温泉は、東京神奈川千葉といった南関東に主に分布しており、これらの地域では、天然温泉を使った健康ランドで黒湯を見かけることもあるかもしれません。
黒湯ではない炭酸水素塩泉(重曹泉)で有名なものは、和歌山県の龍神温泉で、こちらの温泉は日本三大美人の湯の一つに挙げられています。色は無色または微白濁色などですが、湯に浸かってみると肌がヌルヌルするため、その効果の程をすぐに実感できると思います。

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泉質による分類:二酸化炭素泉

泉質による9つの分類を紹介し終わったので、今度は各々の分類について具体的に見ていきましょう。

二酸化炭素泉(炭酸泉)とは


二酸化炭素泉は、炭酸泉とも呼ばれ、端的に言えば温かい炭酸水です。もし地中から湧き出す炭酸水があり、かつ温度が摂氏25度以上ならば、それは分類上炭酸泉ということになります。ただ、勿論自然界の水にはある程度の二酸化炭素は溶け込んでいるのが普通ですので、炭酸泉と認定されるためには、どの程度の炭酸が水に溶け込んでいるかが問題となります。

温泉法の規定による炭酸泉の条件は、遊離炭酸(CO2)が1kg中に250mg以上含まれていることです。これはつまり、炭酸濃度0.025%以上の炭酸水ということになりますね。参考までに、ビールやコーラなどの炭酸濃度は0.3%〜0.4%ほどです。炭酸泉を飲用しても、ゲップが出るという人はいないでしょう。

二酸化炭素泉(炭酸泉)の効能


炭酸泉の効能は、炭酸の泡が皮膚表面に付着することによる血行の促進、新陳代謝の活性化です。皮膚から血液中に二酸化炭素が取り込まれると、血行が促進され、皮膚全体が目に見えるほど赤くなります。心臓に負担をかけずに血液の巡りを良くするため、ヨーロッパでは「心臓の湯」という名前で呼ばれ、病気の療養効果について古くから研究・実用化がされています。


代表的な二酸化炭素泉(炭酸泉)


先程ヨーロッパでの炭酸泉利用について書きましたが、何故ヨーロッパで炭酸泉の利用が活発なのかというと、末期火山が多いため、炭酸泉の数が多いからです。特に、一番炭酸泉が湧出するのがドイツで、バートナウハイムという温泉地は非常に有名です。
翻って日本の炭酸泉を見てみますと、温泉の総数の中で割合は多くなく、炭酸泉を謳っている温泉でも医学的に大きな効果が期待できる濃度0.1%(1000ppm)以上の温泉は数えるほどしかありません。
その中でも、大分県の白水鉱泉を筆頭とする炭酸泉は、日本の天然炭酸泉の白眉です。また、こちらは炭酸泉のみでなく様々な温泉成分が混在したものですが、有馬温泉もまた遊離炭酸含有量の多い温泉として有名です。最近コンビニなどでよく見かけるようになった、ウィルキンソンタンサンも、有馬温泉の近くから湧出した炭酸泉を工場で瓶詰めして販売を開始したという経緯があります。

人工炭酸泉について


炭酸泉は、温泉の泉質の中でも目に見える効能が期待できる泉質です。また、人工的に炭酸泉を作り出すことも比較的容易であるため、健康センターなどで炭酸泉を売りにするところもあります。スポーツ選手がトレーニングのクールダウンに炭酸泉浴をすることもあります。


泉質コンプリートを目指す温泉マニアには、天然炭酸泉は最後の関門になるかもしれません。
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温泉の成分による分類

(注意:この記事よりもう少し厳密に説明を試みた記事をアップロードしました。
温泉の泉質分類 分け方が3通りもあるのを知っていますか?
こちらも参考にしてみて下さい。)

温泉は成分により9つの分類に分かれる


地下から涌き出した水が温泉であるかそうでないかを区別する法律として、温泉法というものが存在することは、既に説明しました。温泉法ではまた、温泉の成分毎に9つの分類を行って、利用者が利用する温泉についてあらかじめ理解し易いようにしています。
9つの分類は、とりあえず列挙すると以下のようになります。


  • 二酸化炭素泉(炭酸泉)

  • 炭酸水素塩泉(重曹泉)

  • 塩化物泉(食塩泉)

  • 硫酸塩泉(石膏泉)

  • 鉄泉(含鉄泉・含銅泉)

  • 硫黄泉(硫化水素泉)

  • 酸性泉(明礬泉)

  • 放射能泉

  • 単純泉



自称温泉マニアの方でも、聞いたこと無い・入ったこと無いというようなマイナーな分類の温泉があるのではないでしょうか。各分類の詳細についてはそれぞれ単独項目をもうけて解説します。

温泉の成分はどこでわかるの


これから入る温泉の成分を知りたいときは、どのように調べればよいのでしょう?有名な観光地の有名な温泉ですと、ガイドブック等に成分が書いてあることがあります。けれどもふらっと立ち寄った、不意に発見したような秘湯は、ガイドブックには載っていません。それでは、その温泉の成分を体で感じるほかないのでしょうか?

この成分表示についても、温泉法は規定を作っています。どこの温泉に行っても、温泉成分分析表という表が掲げてある筈です。
温泉成分分析表は、都道府県知事の登録を受けた分析機関による分析結果を表示します。現在では10年以内に少なくとも一度の調査が義務とされているので、 表示されている成分は少なくとも10年以上古いデータではありません。詳しい含有量についても記載があるものですが、項目で6番のところに、「泉質」として上の分類のうちどのカテゴリーに含まれるかが記載されている筈です。

成分による温泉の9分類を知っていれば、温泉旅行を計画する際にも、泉質が異なった温泉をめぐるなどの楽しみ方が出てきますね。
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温泉が好きな国内旅行マニアです。色々な温泉に入るうちに、温泉のことをもっと知りたいと思うようになってきました。気になる美容・健康との関係についても調査しちゃいます!

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